雅行政法務事務所

日本行政書士連合会 千葉県行政書士会会員

身元保証について

1. 身元保証人とは

入院・手術の際に身元保証人が必要だと言われて戸惑っている人、知人から手術の際の身元保証人になってくれと頼まれて不安に思っている人もいると思います。
身元保証人とはどんな役割を果たさなければならないのでしょうか? 実は、身元保証人という制度は、法律で定められた制度ではありません。 ですから、どこまでが身元保証人の役割であるかが不明なことも多いのですが、たとえばある病院の誓約書には下記のような記載があります。
「入院費用、それに伴う諸費用は本人及び身元保証人が責任をもって支払う」 「退院や転院を命ぜられた場合は身元保証人の責任において引き受ける」 身元保証人がサインする書類はこのような簡単な文面であることが多いのですが、文面が簡単だからと言って責任が軽いわけではありません。 まず入院・手術費用を本人が支払うことができない場合は、身元保証人が支払わなければなりません。
次に退院や転院の責任も負います。
もし万が一本人が亡くなった場合には、遺体を引き取る責任があるということも意味します。 万が一の際に責任を負うのですから、緊急時の連絡先としての役割も求められていることが分かります。 また本人が意思表明できないような場合に、医療処置や介護方針等に関しての判断を求められるケースもあります。
このように、身元保証人には重大な責任が負わされることが分かると思います。 知人に気軽に頼めるような内容でも、頼まれたからと言って気軽に引き受けられるような内容でもないのが入院・手術時の身元保証人なのです。

2. いざという時のために

いざという時に慌てないために事前の準備が必要です。
現在は健康だけど、将来はどうなるか分からないので不安だという人も多いと思います。 そのような方は、事前に準備をしておけば安心です。元気なうちに準備しておく内容は下記の通りです。
死後事務委任契約と見守りプランを組み合わせれば、身元保証団体によくみられるような会員組織に属する必要はありません。
会員になるための無駄な費用も必要ありませんし、個人の状況に応じた柔軟なプランを組むこともできます。

  • 基本契約(1)亡くなったあとのことを死後事務委任契約で決めておきます。
    • 葬儀・納骨方法を指定する
    • 家の片づけをしてもらう
    • 役所等の手続きをしてもらう
  • このようなことが死後事務委任契約があれば代行することができます。
  • 基本契約(2)見守り契約を締結する。
    • 状況に変化はないか、電話または訪問で確認をします。
    • 見守り回数や方法については、本人との話し合いで決めます。
  • まだ元気なので1年に1回の見直しでも良いという人もいるでしょうし、 高齢で心配なので毎月訪問・電話をしてほしいという人もいると思います。

3. 身元保証について

死後事務委任契約が締結されていれば、トップページ記載のBコース 、Cコースにスムースに移行できます。 Bコース、Cコースには死後事務委任契約書の作成費用が含まれているため、事前に死後事務委任契約書を作成してある場合はその分が減額されます。 ⓷財産の処分を指定する場合は遺言書をつくる。 たとえば、亡くなったあとは財産を特定の団体に寄付したいというような希望がある場合、あるいは、飼っていたペットを特定の人に預かってもらいたいというような希望がある場合は、遺言書の作成が有効です。 遺言書には自筆による遺言と公正証書によるものがありますが、状況に応じて選ぶことができます。 ④管理する財産が多い場合は財産管理契約や任意後見契約を締結する。 たとえば、賃貸用のアパートがあって家賃管理をしているような場合は、その管理を代行してもらうことができます。 判断能力がある場合は、財産管理契約だけで十分すが、認知症などで管理能力がなくなった場合に備えて任意後見契約を締結しておくとより安心です。 以上のとおり、現行の法制度を上手に組み合わせれば、安全に、個人の状況に応じた準備をすることができます。 急に入院することになった!でも保証人がいない― そんなふうにならないためには、元気なうちの準備が大切だと言えます。